理念
近年の大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会活動の進展は、地球規模での環境負荷を増大させ、自然の生態系や生活環境に大きな影響を与えている。これらに対し、住民、企業、行政が協働して、環境への付加の少ない持続可能な社会経済システムに転換する事が急務となっている。
現在、全国で発生する木材資源は、製材所や家具製造等の木材工場や建物の解体、土木工事等に伴う抜根や伐採木、さらにダム・河川の流木などで、実に年間1000万トン以上にのぼる。
これら大量に発生する木材資源に対し、これまで様々な取組みが行われており、製紙、繊維版等の原料利用(マテリアルリサイクル)、ボイラーや乾燥用エネルギーとしての燃料利用(サーマルリサイクル)、また農業、酪農業における家畜敷藁材や堆肥・コンポスト化等々、各地域、各分野で循環活用を行ってきた。更に、平成14年12月にはバイオマス・日本の総合戦略が閣議決定され、これからのバイオマスにおける生物資源である木材資源の利活用は、今後の環境産業事業者(リサイクル業者はもちろん、排出事業者、処分業者も含む)に大きな影響を与えると共に、持続的に発展可能な社会への移行を早期に実現させるものである。
しかし、これらの推進活動は、近年になってようやく取り沙汰されてきた事であり、現状では全国において、未だ50%以上の木材資源が循環利用されずにいるのである。また、この様な時世の流れと共に、環境産業事業者にとっての木材資源循環活用は非常に渇望されてきていることである。
これらに取組むには、生活者や産業の不利益にならない循環型社会構築が必要であり、それらの実現の為には、循環型社会のそれぞれの因子を一つ一つひも解いていかなければならないと共に、確固たる正確な情報の共有化が必要である。その為には、以下に挙げる事項の基盤整備的な活動が必要である。
環境産業事業者に対して3R事業(リデュース、リユース、リサイクル)における法ルールに基づく衆知啓蒙、収益性獲得の為の情報、技術等の提供。
行政に対しての環境産業事業者の具体的な情報の提供と、行政が執り行う活動(一般市民向け、環境産業事業者向け等)への積極的な参画。
市民生活者へは、一人一人が排出者であり、分別者であり、処理者でもある事の衆知啓蒙の為の情報の提供。
更には冒頭に述べたようなこれら住民、企業及び行政の協働、すなわちこれらが一つになる循環型社会のネットワークの確立が必要である。われわれ全国木材資源リサイクル協会連合会は、上記に挙げた多岐にわたる活動の推進を行い、木材資源の視点からの循環型社会へ貢献していくものである。(平成16年NPO法人化にあたって)